学生アイデアファクトリー2025の開催について
「学生アイデアファクトリー」は、学部生・高専生が抱く科学への夢、自由な発想、独創的な研究アイデアを発掘し、それを開花させるプロジェクトです。
今回で第3回目を迎える「学生アイデアファクトリー2025」を、独自の研究アイデアを持つ学部生・高専生を対象として実施しました。書類審査を通過した28名の学生は、宮城県松島で開催された二泊三日の合宿形式サマーキャンプに参加。その後、交流会や企業見学、研究者とのディスカッションなど、アイデアを加速させるアクセラレーションプログラムを経て、東京・日本科学未来館で開催された「サイエンスアゴラ2025」にて、ファイナルプレゼンテーション(ポスター発表)を行いました。
この中から優秀な研究アイデアを持つ学生がファイナリストとして選抜され、ポスター発表に加えて口頭発表を行いました。優秀な発表者には、「JAAS賞(1名)」「ダイヤモンド賞(1名)」「プラチナ賞(1名)」「審査委員特別賞(1名)」「ゴールド賞(5名)」「協力団体賞(4名)」がそれぞれ授与されました。また、プロジェクト期間中は研究発表だけでなく、参加学生同士の交流・情報交換も盛んに行われました。
本プロジェクトは、「日本の科学を、もっと元気に。」を合言葉に、あらゆる人々が対話し協働して科学を振興していくことを目指す特定非営利活動法人日本科学振興協会(JAAS)が主催しました。実施にあたっては、一般社団法人学生自主研究推進機構(SINAPS)、株式会社インセプタム、学生コミュニティ BEAST、そして本年よりOBOGにより組織された学生アイデアファクトリーAlumniネットワーク(SparVeX)と連携しました。
プロジェクト概要
開催日程・場所
| 参加者募集 | エントリーおよび書類提出期間 2025年4月1日(火) ~ 2025年5月18日(日) 参加者の決定通知 2025年6月5日(木) |
|---|---|
| サマーキャンプ | 2025年7月11日(金) ~ 13日(日)合宿形式 二泊三日 【開催場所】宮城県 東京エレクトロン 松島クラブ |
| アクセラレーションプログラム | 2025年7月 ~ 2025年10月 |
| ファイナルプレゼンテーション | 2025年10月25日(土) 【開催場所】東京都 日本科学未来館 |
学生アイデアファクトリー2025 ドキュメント
サマーキャンプ【2025年7月11日(金)~ 13日(日)】
書類選考を通過し、全国から集まった28名の学生たちが挑む「学生アイデアファクトリー2025」。その最初の催しとなるサマーキャンプが、2025年7月11日~13日の二泊三日、宮城県松島の「東京エレクトロン 松島クラブ」で開催されました。
1日目はプレ・オープニングセッションとして、学生同士の自己紹介・顔合わせとして「単語を掛け合わせて新商品を生み出す」ワークショップを実施しました。また、サマーキャンプでの議論の仕方についてガイダンスを行いました。初対面の学生たちは、初対面の学生たちは、当初こそ緊張した面持ちでしたが、時間の経過とともに打ち解け、互いに笑顔を見せるようになっていきました。その交流の熱は冷めることなく、初日の夜であるにもかかわらず、早速夜遅くまでそれぞれの研究アイデアについて白熱した議論が繰り広げられました。
2日目からはプログラムがいよいよ本格化。研究内容の紹介を兼ねた自己紹介に続き、ポスター前での「研究アイデアロケットトーク」がスタートしました。斬新なアイデアに満ちた発表が次々と行われる中、学生たちは活発に意見を交わし、会場はすぐに熱気で包まれました。
トークの合間には、良いプレゼンテーションの方法を学ぶワークショップを実施しました。その後、ワークショップでの学びやフィードバックを即座に反映させる形で、改めて研究アイデアロケットトークを行いました。すべての発表が終了した後には、協賛企業による企業紹介や、研究アイデアを論文として投稿するためのプロセスに関する講演・ディスカッションも行われました。
2日目のメインプログラム終了後も、学生たちの熱意が収まることはありませんでした。前日に続き、会場の至る所で夜遅くまで議論の輪が広がり、互いの研究テーマを深く掘り下げ合うその姿からは、科学への尽きない探究心がひしひしと伝わってきました。
最終日となる3日目は、科学技術イノベーション政策を担う現役官僚をお招きし、プレゼンテーションと討論を行いました。続いて、協賛企業や官僚の方々も交えたグループワークを実施。「異なる研究アイデアを掛け合わせてイノベーションを起こす」というテーマのもと、立場を超えた共創の可能性を探求しました。
企業や行政との対話を経て、学生たちのアイデアはより現実的かつ鋭いものへと磨かれていきました。最終的な全体討論やシャウトアウトで見せた彼らの表情は、初日とは比べものにならないほど自信と活気に満ちており、その著しい成長ぶりには目を見張るものがありました。
この3日間は、単なる学びの場ではなく、異分野の知見が交錯し、新たな発想が生まれる「化学反応」の連続でした。高い志を持つ仲間と出会い、互いに切磋琢磨したこの経験は、今後の彼らの歩みを支える、かけがえのない時間になったのではないでしょうか。












サマーキャンプ ダイジェスト映像
アクセラレーションプログラム【2025年7月~10月】
サマーキャンプで得た経験を土台に、ファイナルプレゼンテーションと今後の研究活動の発展を目指し、研究計画の精緻化とプレゼンテーション能力向上を支援するアクセラレーションプログラムを実施しました。
2025年8月18日、協賛企業である東京エレクトロン株式会社のご協力のもと、『真夏の交流会』@東京エレクトロンを開催いたしました。当日は、学生アイデアファクトリー2023・2024・2025の参加学生が一堂に会し、盛況となりました。プログラムの一環として、「自主研究トークスペシャル」と題し、本プログラムの先輩にあたる下山雄人 さん(東京都立大学 助教)と清水俊樹 さん(東京農工大学 助教)にご講演いただきました。 お二人の自主研究体験や現在のキャリア、そして将来の夢について語られた内容は、現役学生にとって関心の高いトピックばかりで、会場からは多くの質問が寄せられ、活発な質疑応答が行われました。また、年度の枠を超えた交流を深めるため、2023〜2025の各年度生が協力して取り組むグループワークや、研究アイデアをより具体化するためのアクセラレーション相談会などを実施しました。夕方には懇親会を開催し、参加者同士が親睦を深め、より強いネットワークを築くきっかけとなりました。
2025年9月29日には、寄附によるご支援をいただいている東レ株式会社のご厚意により、日本橋本社のショールーム見学の機会をいただきました(ハイブリッド開催)。はじめに東レの革新技術・先端材料による社会貢献や世界的な課題解決に関する展示をご紹介いただいた後、常務執行役員 医薬・医療事業本部統括 研究本部長の井口雄一朗 さんより、東レの研究開発についてのご講演を賜りました。さらに、各研究所(繊維研究所、フィルム研究所、電子情報材料研究所、先端融合研究所)を代表する気鋭の若手研究者4名の方々からはご略歴や研究内容紹介、普段のお仕事におけるやりがいなどについてお話しいただき、参加学生の大いなる刺激となりました。また、現地参加した2025年度生の研究アイデア発表に対して専門家視点でのフィードバックコメントもいただけるなど、文字通り自主研究内容の「加速」へとつながる貴重で有意義な時間となりました。
また、これらに加え、学生アイデアファクトリーの実行委員主導によるオンライン企画として、研究者特有のコミュニケーション作法や、自身の研究価値を効果的に伝えるプレゼンテーション技法を学ぶ実践的なワークショップも展開しました。




ファイナルプレゼンテーション【2025年10月25日(土)】
サマーキャンプ、アクセラレーションプログラムを経て磨き上げられた学生たちの独創的なアイデアが、2025年10月25日(土)に東京・日本科学未来館にて発表されました。「学生アイデアファクトリー2025 ファイナルプレゼンテーション」と題して開催され、科学技術振興機構が主催する「サイエンスアゴラ2025」のプログラムとして、多くの来場者を迎えての発表・交流が行われました。
本年度は、午前中のポスターセッションからプログラムがスタートしました。会場では早い時間から、自身のアイデアを熱心に説明する学生の姿が見られ、来場者との活発な質疑応答が交わされました。
午後はイノベーションホールにてステージ企画を実施しました。選抜された8名のファイナリストによる口頭発表、および全参加者による「ポスター1分ピッチ」を行い、続いて表彰式を執り行いました。
厳正な審査の結果、特に優秀と認められた学生にはJAAS賞、協賛企業賞(DIAMOND賞、PLATINUM賞、GOLD賞)、協力団体賞が授与され、さらに内閣府 井上諭一 様より参加学生全員へ参加証が贈られました。
ステージ企画終了後には、再びポスターセッションの時間を設けました。ステージでの発表を経て熱気を帯びた会場では、学生同士、企業の方々、そして来場者が入り混じって議論を深めました。サマーキャンプから続く一連のプロセス、そしてこの日の交流を通じ、参加学生たちは互いに研鑽し合い、かけがえのない絆を育むことができました。
「学生アイデアファクトリー2025 ファイナルプレゼンテーション」審査委員長のコメント
箕浦 真生審査委員長総評:箕浦 真生(立教大学 副総長)
3年目を迎える学生アイデアファクトリー2025では、書類選考とサマーキャンプを経て28名の中から選ばれた8名がファイナルプレゼンテーションの舞台に立ちました。今年の審査会は審査委員特別賞が出るほど優劣がつけがたく、研究アイデアも分子・タンパク質を扱うものから人や地球・宇宙までと幅広く、審査基準であるアイデアの独自性、熱意、さらにプレゼンテーション力など、選考は本当に拮抗しました。参加してくれた皆さんは、「学生アイデアファクトリー」という機会やここで得た繋がりを最大限に活用して、今後の研究をさらに発展させていってほしいと思います。
「学生アイデアファクトリー2025 ファイナルプレゼンテーション」受賞者のコメント



JAAS賞
中桐 真珠子 九州大学 工学部
高校2年生の時に細胞の根本的な性質に興味を持つようになり、工学部として細胞を利用したい気持ちが強くなり、材料としての細胞に目を向けて考えたのが、「昆虫細胞を用いたロボット」でした。25世紀をつくるような研究者になりたいという強い思いが、このアイデアに辿り着いたと考えており、今回、賞をいただくことができて本当にうれしいです。また、ファイナルプレゼンテーションの準備をしていく中で、様々な先生や専門家からのアドバイスや仲間との交流で刺激を受けたことで、さらに研究を深めていくために勉強していきたいという気持ちが増しました。



DIAMOND賞
林 優太 北海道大学 水産学部
長崎県出身の私は、大学から北海道にきて多くの野生動物と出会いました。「この感動を残していきたい」という思いから、人と野生動物の距離について関心を持つようになり、ガンジスカワイルカの問題を知ったことがきっかけで、この研究アイデアを設定しました。自分が興味を持って調べ始めたテーマが、先生方からの助言を受けまとまってく過程や、サマーキャンプを通して多くの仲間と出会えたことが、今回の受賞につながったのだと思います。人生にとって貴重な財産になったと感じています。



PLATINUM賞
林 謙翔 筑波大学 総合学域群
協賛企業の技術者の方から面白い研究だと評価していただけたことがとても嬉しかったです。もともと免疫が好きで、特に腫瘍免疫について関わりたいと考えていたところ、光スイッチタンパク質に出会って、それを融合させたら面白いものになるのではないかと考え、この研究アイデアが生まれました。今後は、使っているタンパク質の組成を明らかにして、どのような挙動を示すのかを確かめていきたいです。



審査委員特別賞
竹内 優輝 名古屋大学 理学部
もともとクラゲがとても好きで、高校時代から飼育していて、それを通じて得た発見からアイデアを導き出しました。そのアイデアを、ファイナルプレゼンテーションで評価していただけたことが非常に嬉しかったです。現在、クラゲの行動分類システムを作っているので、その実装までを進めて、クラゲについてさらに深く研究を進めていきたいと考えています。




























学生アイデアファクトリー2025 ファイナルプレゼンテーション プレスリリース


ファイナルプレゼンテーション 受賞者
敬称略
| 受賞名 | 発表者名 | 所属 | 研究アイデア |
|---|---|---|---|
| JAAS賞 | 中桐 真珠子 | 九州大学 | 昆虫細胞を用いた未来型ロボット開発 |
| DIAMOND賞 (東京エレクトロン株式会社) | 林 優太 | 北海道大学 | 参加型アクションリサーチ×生物指標でガンジス水系流域の衛生・環境課題を解決する |
| PLATINUM賞 (株式会社SCREENホールディングス) | 林 謙翔 | 筑波大学 | 免疫応答における局所的活性化の光制御 |
| 審査委員特別賞 | 竹内 優輝 | 名古屋大学 | クラゲの睡眠の進化 ~行動分類から睡眠の位相を探る~ |
| GOLD賞 (株式会社荏原製作所) | 角田 大河 | 青山学院大学 | 衛星データと魚群探知機情報を用いた魚群予測モデルの構築 ~持続可能で効率的な漁業革命~ |
| GOLD賞 (花王株式会社) | 高橋 雅史 | 東京大学 | MOFを利用した太陽電池の開発 |
| GOLD賞 (CKD株式会社) | 藤脇 匠刀 | 青山学院大学 | フクロウの羽でうるさいポンプを静かにする ~冷却ポンプのキャビテーション抑制へのフクロウの翼のセレーション構造の応用~ |
| GOLD賞 (Springer Nature) | 古川 耕太郎 | 金沢大学 | ストレスは挑戦か、不安か、それとも? ~意味づけの多様性を可視化するフグ型インタフェース〜 |
| GOLD賞 (株式会社オズマピーアール) | 近藤 史織 | 北海道医療大学 | 咀嚼できなくても”おいしい”はつくれるか |
| SINAPS賞 | 樋野 遥 | 筑波大学 | 外来植物の宇宙での利用 ~外来植物と切り開く未来の農業~ |
| 株式会社インセプタム賞 | 佐野 花琳 | 筑波大学 | コケ植物で火星をテラフォーミング ~エクステリアとしての苔紙で土壌遷移促進を~ |
| BEAST賞 | 原科 幸一郎 | 一関工業高等専門学校 | 非利き手による書字訓練のリハビリ応用の可能性 |
| SparVeX賞 | 樋野 葵 | 東京農工大学 | コンポストを核とした地域循環の探究 ー持続可能な交流モデルを目指してー |
参加学生
★:ファイナルプレゼンテーション ファイナリスト
敬称略
※ポスターデータは一部非公開の箇所がある場合があります
氏名・所属・ポスターは2025年10月25日時点
審査委員会
審査委員会では、厳正なる合議により、以下の選抜を行いました。
- 学生アイデアファクトリー2025 参加者の選抜
- ファイナルプレゼンテーションでのファイナリストの選抜
- JAAS賞および審査委員特別賞の授与対象者の選抜
敬称略
| 役職 | 名前 | 所属 |
|---|---|---|
| 審査委員長 | 箕浦 真生 | 立教大学 副総長 |
| 審査委員 | 五十嵐 浩也 | 筑波大学 特命教授(ヒューマンエンパワーメント推進局顧問、 国際産学連携本部アントレプレナー教育担当) |
| 審査委員 | 宇田川 敦志 | 3M Japan Innovation Limited Director, Japan Leader, Corporate R&D Operations |
| 審査委員 | 内田 史彦 | 北陸先端科学技術⼤学院⼤学 未来創造イノベーション推進本部 スタートアップ推進室長 |
| 審査委員 | 浦上 裕光 | シュプリンガー・ネイチャー アカデミック・エンゲージメント・ディレクター |
| 審査委員 | 江村 克己 | 福島国際研究教育機構(F-REI) 理事 |
| 審査委員 | 隠岐 さや香 | 東京大学 教授(大学院教育学研究科) |
| 審査委員 | 荻野 裕史 | 東京エレクトロン株式会社 サステナビリティ グローバルヘッド |
| 審査委員 | 小野 悠 | 豊橋技術科学大学 准教授、JAAS フェロー |
| 審査委員 | 原山 優子 | JAAS、東北大学 名誉教授 |
| 審査委員 | YAMAMOTO BEVERLEY ANNE | 大阪大学 理事・副学長(国際(教育)担当) |
2025年10月25日現在
実行委員会
| 役職 | 名前 | 所属 |
|---|---|---|
| 委員長 | 深澤 知憲 | JAAS 代表理事、株式会社エマージングテクノロジーズ 代表取締役社長 |
| 委員長 | 太田 航 | JAAS フェロー、横浜市立大学 助教 / YCU Frontier Research Fellow |
| 副委員長 | 東野 利貴 | SINAPS 理事長 |
| 副委員長 | 返町 洋祐 | 株式会社インセプタム 代表取締役 |
| 副委員長 | 下川 瑞貴 | 学生団体BEAST 代表 |
| 委員 | 北原 秀治 | JAAS 代表理事、東京女子医科大学 准教授 |
| 委員 | 馬場 基彰 | JAAS 理事、横浜国立大学 准教授 |
| 委員 | 宮原 聖子 | JAAS 理事、たねまきめぶき |
| 委員 | 諏訪 智巳 | JAAS フェロー、東北大学 多元物質科学研究所 |
| 委員 | 原山 優子 | JAAS、東北大学 名誉教授 |
| 委員 | 大坪 嘉行 | JAAS、東北大学 准教授 |
| 委員 | 小久保 治哉 | JAAS |
| 委員 | 高橋 伸明 | JAAS |
| 委員 | 赤神 青空 | 学生団体BEAST メンター、JAAS |
※JAAS:特定非営利活動法人(NPO法人)日本科学振興協会、SINAPS:一般社団法人 学生自主研究推進機構
2025年10月25日現在
協賛・寄附企業団体
Diamond Sponsor ダイヤモンドスポンサー
Platinum Sponsor プラチナスポンサー
Gold Sponsor ゴールドスポンサー
寄附企業・団体
主催・協力・後援
主催
協力
後援
最終更新:2026/01/06





