学生アイデアファクトリー2024の開催について
「学生アイデアファクトリー」は、学部生・高専生が抱く科学への夢、自由な発想、独創的な研究アイデアを発掘し、それを開花させるプロジェクトです。 その記念すべき第2回目となる「学生アイデアファクトリー2024」を、独自の研究アイデアを持つ学部学生・高専生を対象として実施しました。
書類審査を通過した35名の学生が宮城県松島で開催された二泊三日の合宿形式のサマーキャンプ、交流会や企業見学、研究者とのディスカッションなどアイデアを加速させるアクセラレーションプログラムを経て、サイエンスアゴラ2024のプログラムとして東京・日本科学未来館で開催されたファイナルプレゼンテーションにて研究アイデアをポスター発表しました。この中から優秀な研究アイデアはファイナリストとして選抜され、ポスター発表に加えて口頭発表を行いました。優秀な発表者には、「JAAS賞」1名、「ダイヤモンド賞」1名、「プラチナ賞」1名、「審査委員特別賞」1名、「ゴールド賞」4名、「協力団体賞」3名が授与されました。また、プロジェクト期間中は、研究アイデアの発表だけではなく、参加学生同士の交流・情報交換も盛んに行われました。
なお、学生アイデアファクトリー2024は、「日本の科学を、もっと元気に。」を合言葉に、あらゆる人々が対話し協働して科学を振興していくことを目指す特定非営利活動法人日本科学振興協会(JAAS)が主催し、一般社団法人学生自主研究推進機構 (SINAPS)、学生コミュニティ BEAST、株式会社インセプタムと連携し実施しました。
プロジェクト概要
開催日程・場所
参加者募集 | エントリーおよび書類提出期間 2024年4月1日(月) ~ 2024年5月20日(月) 参加者の決定通知 2024年5月30日(木) |
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サマーキャンプ | 2024年7月5日(金) ~ 7日(日)合宿形式 二泊三日 【開催場所】宮城県 東京エレクトロン 松島クラブ |
アクセラレーションプログラム | 2024年7月 ~ 2024年10月 |
ファイナルプレゼンテーション | 2024年10月27日(日) 【開催場所】東京都 日本科学未来館 |
学生アイデアファクトリー2024 ドキュメント
サマーキャンプ【2024年7月5日(金)~ 7日(日)】
書類選考を通過した全国から集まった35人の学生たちによる学生アイデアファクトリー2024、その最初の催しとなるサマーキャンプが昨年より1日プログラムが増え、2024年7月5日~7日の二泊三日、宮城県松島の東京エレクトロン 松島クラブで開催されました。
1日目はプレ・オープニングセッションとして、学生同士の自己紹介・顔合わせとして他己紹介セッション、サマーキャンプでの議論の仕方についてガイダンスを行いました。初対面の学生たちは、緊張した面持ちで交流を始めました。しかし、時間の経過とともに打ち解け、互いに笑顔を見せるようになっていきました。
2日目からは本格的にプログラムがスタートし、研究内容紹介を兼ねた自己紹介のあと、ポスターの前での研究アイデアピッチに移りました。斬新なアイデアに満ちた発表が続く中、当初は緊張していた学生たちも、すぐに白熱した議論を繰り広げていました。
研究アイデアピッチに続くワークショップでは、研究アイデアをどのように論文にまとめていくのか、科学研究を進める上で知っておいた方がいいこと、考えておいた方がいいことなどについて講演があり、ディスカッションも行いました。
2日目のメインプログラム終了後も、学生たちの活気は冷めることなく、会場のあちこちで熱心な議論が繰り広げられました。互いの研究テーマについて深く掘り下げ、意見を交換する声が夜遅くまで響き渡り、研究への情熱と探究心がひしひしと伝わってきました。
3日目は、科学技術イノベーション政策担当の官僚を招き、プレゼンテーションとディスカッションを実施しました。その後、協賛企業や官僚も参加するグループワークを行い、研究アイデアの掛け合わせによるイノベーション創出の可能性を探りました。
学生同士や協賛企業との交流を通して、アイデアが育まれ、洗練されていく様子が印象的でした。全体討論とアフタートークでは、前日よりも学生たちの表情が生き生きとして自信に満ち溢れており、彼らの成長を感じることができました。
わずか3日間という短い期間でしたが、学生たちは互いにアイデアを刺激し合い、より洗練されたものへと進化させることができました。異なる分野の知識や視点に触れることで、視野が広がり、新たな発想が生まれ、同じような好奇心や向上心を持つ仲間との出会いは、彼らにとって大きな刺激となり、互いに高め合う関係を築くことができました。参加者全員が、この3日間で得た経験や気づきを、今後の糧として成長していく機会となりました。
サマーキャンプ ダイジェスト映像
アクセラレーションプログラム【2024年7月~10月】
サマーキャンプで得た経験を土台に、ファイナルプレゼンテーションと今後の研究活動の発展を目指し、研究計画の精緻化とプレゼンテーション能力向上を支援するアクセラレーションプログラムを実施しました。
2024年8月13日、協賛企業である東京エレクトロン株式会社の協力により、『真夏の交流会』@東京エレクトロンを開催しました。学生アイデアファクトリー2023と2024の学生たちが共に参加しました。プログラムの内容として、自主研究について参加学生の先輩にあたる岩切秀一さん(ワイツマン科学研究所 ポスドク)、日置友智さん(東京大学 大学院工学系研究科 助教)から、「自主研究のススメ」と題して、自主研究体験・現在のキャリア・将来の夢について講演いただきました。学生たちにとって関心の高い話が多く、質疑も盛んに行われました。また、学年を超えた交流を深めるため、2023と2024の学生が協力して課題に取り組むグループワークや、研究アイデアをより具体化するアクセラレーション相談会などを実施しました。夕方には、懇親会を開催し、参加者同士が親睦を深め、より強いネットワークを築くきっかけとなりました。
2024年9月10日、日本アイ・ビー・エム株式会社の協力により、IBM Innovation Studio 見学会を開催しました。参加者は、次世代技術を体験し、技術革新の最先端に触れることができました。見学会後には、アイ・ビー・エム社員と共にグループワークを実施。自主研究やキャリアについて活発なディスカッションが行われました。
さらに、同社から提供されたオンライン教育プログラム「IBM SkillsBuild」では、最新の技術やAI技術に関する講座をはじめ、就職活動のための基礎知識や面接対策講座など、参加者が自由に学べる幅広いコンテンツが提供されました。
また、学生アイデアファクトリーの実行委員がオンラインで、研究者等へコミュニケーションを取る方法を学ぶワークショップや自分の研究や能力を相手に分かりやすく伝えるためのプレゼンテーション講座を開催しました。
上記のプログラムに加えて、博士後期課程の学生や博士号取得者である実行委員が、参加学生一人ひとりの研究内容に合わせて、研究アイデアを洗練させたり、研究をスムーズに進めるためのサポートを行いました。専門性の高い事柄については、実行委員が学生の要望に合わせて専門家を紹介したり、学生が専門家にコンタクトを取れるようサポートしたりすることで、学生は専門家の話を直接聞くことができ、研究アイデアミーティングなども実現しました。このような機会を通して、学生たちは研究アイデアをさらに深めることができました。
ファイナルプレゼンテーション【2024年10月27日(日)】
サマーキャンプ、アクセラレーションプログラムを経て磨かれた学生たちの独創的なアイデアを、2024年10月27日(日)に東京・日本科学未来館にて発表しました。
「学生アイデアファクトリー2024 ファイナルプレゼンテーション」と題して開催され、学生全員によるポスター発表に加え、事前に選抜された8名のファイナリストがステージで口頭発表を行いました。
科学技術振興機構が主催する「サイエンスアゴラ2024」のプログラムとして実施し、様々な来場者に向けて発表・交流が行われました。
午前中はイノベーションホールでステージ企画を行いました。ステージ企画では、ファイナリストによる口頭発表、午後からのポスターセッションへ向けた全参加者によるポスター1分ピッチを行い、その後、表彰式を行いました。
口頭発表、ポスター発表で、特に優秀だと認められた学生にはJAAS賞、協賛企業賞(DIAMOND賞、PLATINUM賞、GOLD賞)、協力団体賞が授与され、さらに内閣府 渡邊昇治様より参加学生全員に参加証が贈られました。
ステージ企画終了後の午後からのポスター発表セッションでは、会場全体で学生同士、学生と企業、学生と来場者(観客)が活発に議論・交流を続けました。サマーキャンプからの一連のプロセスを経て参加学生たちは互いに深い絆を育むことができました。
「学生アイデアファクトリー2024 ファイナルプレゼンテーション」審査委員長のコメント
審査委員長総評:箕浦 真生(立教大学 副総長)
2年目を迎える学生アイデアファクトリー2024では、サマーキャンプや書類選考を経て、35名の中から選ばれた8名がファイナルプレゼンテーションの舞台に立ちました。今年の審査会は「審査委員特別賞」が出るほど優劣がつけがたく、審査基準であるアイデアの魅力や独自性、熱意、さらにプレゼンテーション力など、選考は本当に拮抗しました。今日、ここに参加してくれた皆さんは、「学生アイデアファクトリー」という機会や、ここで得たつながりを最大限に活用して、今後の研究をさらに発展させていってほしいと思います。
「学生アイデアファクトリー2024 ファイナルプレゼンテーション」受賞者のコメント
JAAS賞
為水 ひなた 2年 筑波大学 生命環境学群 生物学類
ミジンコと合成生物学を組み合わせて面白いことができないかという思いから研究を始めた。いろんな人に関わってもらい、時間をかけてブラッシュアップしてきたことが実って嬉しい。今後、生き物の力を掛け合わせる研究の礎となるような研究にしていきたい。
DIAMOND賞
太田 雅啓 2年 東京大学 工学部 精密工学科
空間に興味があり、人間の動きを空間に拡張したらどうなるか?という疑問が研究のきっかけ。賞をいただき、期待の表れとしていいプレッシャーをかけていただいた。一人から始まった研究だが、人のかかわりも研究の一端を担っているため、多くの人を絡めて進めていきたい。
PLATINUM賞
横関 悠平 3年 東京大学 工学部 化学システム工学科
もともと宇宙開発に興味があり、人間が宇宙で生きる未来のためにインフラの解決策を考えたいという想いから研究を進めた。一人で始めた研究を評価されたことは大変うれしく思う。ここから先、実際に「科学システム工学×宇宙居住」が意味を持つところまで広げていきたい。
審査委員特別賞
榊原 聖瑛 2年 筑波大学 生命環境学群 生物学類
水の中の無脊椎動物と情報学的アプローチで生物を理解することを掛け合わせる研究をしたいという思いから取り掛かった。プレゼンを評価していただいたことは素直にうれしい。今後、実装していくために必要な海綿を採取できれば結果を出せると考えている。
ファイナルプレゼンテーション ダイジェスト映像
学生アイデアファクトリー2024 ファイナルプレゼンテーション プレスリリース
ファイナルプレゼンテーション 受賞者
敬称略
JAAS賞 | 為水 ひなた |
東京エレクトロン株式会社 | DIAMOND賞太田 雅啓 |
株式会社SCREENホールディングス | PLATINUM賞横関 悠平 |
審査委員特別賞 | 榊原 聖瑛 |
Springer Nature | GOLD賞吉田 莉恩 |
株式会社関電工 | GOLD賞Rinalda Tri Ardian |
CKD株式会社 | GOLD賞水谷 環 |
株式会社荏原製作所 | GOLD賞樋野 夏希 |
SINAPS賞 | 村上 裕惟 |
BEAST賞 | 齋藤 伸悟 |
株式会社インセプタム賞 | 小坂田 空 |
参加学生
★:ファイナルプレゼンテーション ファイナリスト
敬称略
※ポスターデータは一部非公開の箇所がある場合があります
氏名・所属・ポスターは2024年10月27日時点
審査委員会
審査委員会では、
・学生アイデアファクトリー2024 参加者の選抜
・ファイナルプレゼンテーションでのファイナリストの選抜
・JAAS賞授与対象者の選抜
を合議により行いました。
敬称略
役職 | 名前 | 所属 |
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審査委員長 | 箕浦 真生 | 立教大学 副総長 |
審査委員 | 五十嵐 浩也 | 筑波大学 特命教授(ヒューマンエンパワーメント推進局顧問、 国際産学連携本部アントレプレナー教育担当) |
審査委員 | 宇田川 敦志 | 3M Japan Innovation Limited Director, Japan Leader, Corporate R&D Operations |
審査委員 | 内田 史彦 | 北陸先端科学技術⼤学院⼤学 未来創造イノベーション推進本部 スタートアップ推進室長 |
審査委員 | 浦上 裕光 | シュプリンガー・ネイチャー アカデミック・エンゲージメント・ディレクター |
審査委員 | 江村 克己 | 福島国際研究教育機構(F-REI) 理事 |
審査委員 | 隠岐 さや香 | 東京大学 教授(大学院教育学研究科) |
審査委員 | 荻野 裕史 | 東京エレクトロン株式会社 サステナビリティ統括部 部長 |
審査委員 | 原山 優子 | JAAS、東北大学 名誉教授 |
審査委員 | YAMAMOTO BEVERLEY ANNE | 大阪大学 理事・副学長(国際(教育)担当) |
2024年10月27日現在
実行委員会
役職 | 名前 | 所属 |
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委員長 | 深澤 知憲 | JAAS 代表理事、株式会社エマージングテクノロジーズ 代表取締役社長 |
委員長 | 太田 航 | JAAS、横浜市立大学 助教 |
副委員長 | 東野 利貴 | SINAPS 理事長 |
副委員長 | 谷山 建作 | BEAST 代表 |
副委員長 | 返町 洋祐 | 株式会社インセプタム 代表取締役 |
委員 | 北原 秀治 | JAAS 代表理事、東京女子医科大学 准教授 |
委員 | 馬場 基彰 | JAAS 理事、横浜国立大学 准教授 |
委員 | 宮原 聖子 | JAAS 理事、たねまきめぶき |
委員 | 原山 優子 | JAAS、東北大学 名誉教授 |
委員 | 大坪 嘉行 | JAAS、東北大学 准教授 |
委員 | 小久保 治哉 | JAAS |
委員 | 高橋 伸明 | JAAS |
委員 | 田中 智子 | JAAS |
委員 | 赤神 青空 | JAAS、BEAST 副代表 |
委員 | 玉置 弦 | SINAPS 理事 |
※JAAS:特定非営利活動法人(NPO法人)日本科学振興協会、SINAPS:一般社団法人 学生自主研究推進機構
2024年10月27日現在
協賛・寄附企業団体
Diamond Sponsor ダイヤモンドスポンサー
Platinum Sponsor プラチナスポンサー
Gold Sponsor ゴールドスポンサー
寄附企業・団体
主催・協力・後援
主催
協力
後援
最終更新:2024/12/01
PDF版
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